第137章 お兄ちゃん、ずるい!

今度は、灰原優歌も思いもよらなかった。小さな子供に盗み口づけされるなんて。

その上、小さな子は首を傾げて、可愛らしくも真面目な様子で言った。

「お姉ちゃん、次は覚えておいてね。綺麗な女の子は、そんなに簡単に人を信用しちゃダメだよ」

その言葉を聞いて、灰原優歌も思わず微笑んでしまった。

美しく印象的な目元は、慵懶で艶やかで、人の心を魅了するほどだった。

「こんなに小さいのに、もう女の子を喜ばせるのが上手いのね?」灰原優歌は小さな子の頭を撫でながら笑って言った。

「男の子は、女の子を幸せにする責任があるんだよ」

小さな子はそう言うと、久保時渡に向かって笑顔を見せた。「お兄ちゃん、そうだよね?」

久保時渡だけでなく、灰原優歌にも何となく分かった。小さな子のこの言葉には、少し意図的なものが含まれているということが。