「坊や。」
久保時渡が突然口を開いた。
小さな子は声を聞くと、顔を上げて彼を見つめた。
すると。
久保時渡は彼の前まで歩み寄り、だらしなく片膝をつき、小さな子と目線を合わせた。
彼はゆっくりとテーブルの上の濡れティッシュを取り、小さな子の腕についたペンの跡を拭き取りながら、「お兄さんほどイケメンじゃないから、彼女は君のことを好きにならないよ」と言った。
「だから、おとなしくしていなさい。お姉さんは君のことなんて構わないから、分かった?」
その瞬間。
整った顔立ちの可愛らしい小さな子は、目を丸くし、すぐに涙を溜め始めた。
「うぅぅお兄さん、嘘つき!!」
小さな子は悲しそうに泣いていたが、端正な顔立ちの気品ある男は、少しも申し訳なさそうな様子を見せなかった。
「はいはい、もう泣かないで」