橋口美月は殴られて頭がガンガンしていた。同時に西尾の母のこの荒々しさに怯え、恐ろしくて後ずさりした。「私、私は何も…」
「まだ何もないだって!?」
西尾の母は橋口美月の髪を掴み、怒りに任せて平手打ちを左右から浴びせかけた。「お前この小狐狸精が仕組んだんだろう?!お前が唆さなければ、うちの息子がこんなことするはずがない!??」
今や、灰原優歌の側にいる男性が手を出せない相手だと分かり、西尾の母は弱い者いじめしかできなくなっていた。
しかし幸いなことに。
間もなく、担任の先生が駆けつけて西尾の母を引き離した。その際、顔を西尾の母に引っ掻かれてしまった。
橋口美月は、元々白くきれいだった顔が、今や腫れ上がり、傷口から血が滲み、泣きじゃくる様子は一層見るに耐えないものとなっていた。