第189章 血を流すほど引き抜きたい大物

「気が狂ったのか?追い出されたいのか??」

先輩は思わず内田和弘の肩を叩き、面白そうに言った。「弟よ、あそこは研究所の重要メンバー以外は入る資格がないんだ。」

内田和弘は頭が混乱し、深く息を吸い、灰原優歌が去った方向を指さして、「あの女の子は……」

「え?どの女の子??」

先輩は灰原優歌に気付かず、新入りの内田和弘の前で自分の'人脈'を自慢することに夢中だった。

内田和弘は確信していた。さっき見た人は間違いなく灰原優歌で、絶対に見間違えるはずがない!

しかし灰原優歌が研究所の重要メンバーであるはずがない!

A.M.の採用プロセスは、経験豊富なコンピューター分野の人材以外は、その地位に到達するまでに何年もかかるのだ。

そして灰原優歌が、どうしてコンピューターを理解できるはずがある??

「何でもない。」

内田和弘は深く息を吸い、もうこの件にこだわらないことにした。

……

研究室。

「今回の新プロジェクトですが、所長、新しいインターンの採用を検討してみませんか?みんな良さそうですが。」

太った主任は取り入るように笑いながら言った。

ここ数年、研究所ではほとんどインターンを残していない。彼は焦っているものの、どうすることもできなかった。

結局、これは金井雅守が自ら設立したものだから、誰も口を出せないのだ。

「考えるまでもない!」

金井雅守は目を転がした。

マーカスが海を隔てて、彼らの雲城の人材を引き抜いていることを考えると、腹が立って仕方がなかった!

主任は驚いて、最近の金井雅守がなぜこんなに短気なのか分からなかった。

「では、この研究室は……」主任は慎重に尋ねた。

「他の人のためだ。」金井雅守は当然のように言った。

「……」

主任は更に尋ねた。「私たちの研究所の人間ではないんですか?」

「まだ引き抜けていない。」金井雅守も少し憂いを帯びていた。

あの子は若く見えるが、その心中は測り知れない。

しかし。

主任はこの言葉を聞いて、まぶたが激しく痙攣した。「まだ引き抜けていない人に、私たちの研究所の個室を使わせるんですか?」

これは大きな投資すぎるのではないか??

かつて石川信方でさえ、金井雅守の足元に縋りついて、厚かましくも一年かけてやっと個室を手に入れたというのに!

「彼女にはその価値がある。」