この年齢で、ブサカ賞を狙えるなんて、彼なら、彼も引き抜こうとするだろう……
「優歌、来たのか。この場所はどう?気に入った?」
金井雅守は灰原優歌を見るなり、目を輝かせ、優しい態度で、傍らの石川信方を極度に不快にさせた。
ふん。
当時、彼が採用された時、この老人はこんな態度を見せなかったのに。
「ありがとうございます。とても気に入りました」
灰原優歌は広々として明るい研究室を見渡した。基本設備は完備されており、前方にはプロジェクターまであり、現場会議やビデオ会議に便利だった。
「気に入ってくれて良かった。じゃあ、まずは皆に紹介しようか」
金井雅守のこの言葉は、まるで灰原優歌が既に彼らの研究所に入ったかのような印象を与えた。
「……はい」灰原優歌は目尻を少し動かした。
確かに。
これからしばらくの間、彼女は頻繁に研究所に来る必要があるので、皆と顔見知りになっておくべきだった。
ただし、金井雅守の意図が少し違うように感じられた。
……
会議室にて。
灰原優歌は金井雅守の左側に座るよう案内され、A.M.の重要メンバーたちは入室するなり、見知らぬ少女に気付き、驚愕の表情を浮かべた。
どういうことだ?!!
所長が特に気にかけている大物を見に来るんじゃなかったのか??!
研究所に突然若い女の子が現れるなんて、どういう意味だ!!?
突然。
彼らの頭の中に、恐ろしい推測が浮かんだ……
まさか??!
所長が気にかけている大物というのは、この若い少女なのか!??
「座りなさい、何を見てるんだ!」
主任は指先を優雅に立て、灰原優歌にお茶を差し出した。「灰原さん、これを試してみてください。新鮮な……タピオカミルクティーです」
彼は下を向いた時、石川信方のこの悪がきが持ってきたのがタピオカミルクティーだったことに気付いた!!?
主任は目に火をともし、石川信方を睨みつけた。
「遠慮なく」
石川信方は灰原優歌にカップを掲げ、タピオカミルクティーを一気に飲み干し、腕を組んで、楽しそうに真珠を噛んでいた。
灰原優歌もカップを受け取り、美しすぎる目尻が怠そうに曲がっていた。
接しづらい人には見えなかった。
この様子を見て。
所長と主任は安堵のため息をついた。