第195章 ビリ

その言葉を聞いて、土屋遥は灰原優歌が自分を見る目に、かすかな嫌悪感を感じた。

土屋遥：「……」

五十歩百歩なのに、彼を嫌うなんて？？

「実は僕、外国語がすごく得意なんだ」

土屋遥は即座に弁明し、誇らしげな表情で「140点以上取るのなんて、簡単だよ」

結局のところ、土屋遥は海外で育ち、中学2年生の時に帰国したのだ。

「うん、すごいね」

灰原優歌はゆっくりと適当に答え、引き出しの中から文具を探していた。

「……」

土屋遥はすぐさま負けず嫌いな心を刺激され、「信じないの？今回、本当の天才とはどういうものか分からせてやるよ」

そう言い終わると、土屋遥は意気揚々とした姿だけを残して、試験会場へ向かった。

一方、灰原優歌はまぶたをピクリと動かし、この年頃の男子がなぜこんなにも子供っぽいのか理解できなかった。

……

永徳高校の試験の座席は、成績順に配置されており、第一試験室から第十試験室まであった。

「裕香、そんな状態なのに、まだ試験を受けに来るの？本当に頑張り屋さんね」

女子生徒は柴田裕香を支えながら、第一試験室の二番目の席まで連れて行った。

柴田裕香は微笑んで、「最近、勉強の調子があまり良くないから、ちょっと確認したいと思って」

「天才の調子が悪くても、私たち凡人には及びもしないわ」

女子生徒はわざとため息をつき、続けて「でも、7組のあの灰原優歌がどんな成績を取るのか、私も気になるわ。

聞いた話では、試験でカンニングして処分を受けて転校してきたんでしょう？はぁ、同じ柴田家のお嬢様なのに、あなたとは大違いね」

「もういいわ、その話は」

柴田裕香は意図的に笑みを消し、無表情で言った。「もう両親や兄たちに何かで責められたくないの」

この様子を見ていた他の生徒たちは、ネット上での柴田裕香に対する特に厳しい言葉を思い出した。

柴田裕香は単に投稿をしただけで、灰原優歌に実質的な被害を与えたわけでもなく、しかも誠実に謝罪したのに、あの人たちはなぜそこまでしつこく責める必要があるのだろうか？

そう考えると、多くの人々は灰原優歌が良い人間ではないと感じ始めた。

柴田裕香がここまで謝罪したのに、そんなにひどく非難される必要があるの？灰原優歌も一言くらい助け舟を出せばいいのに？？？