第220章 お兄さんが行くと叱られそうで心配

佐藤知行は一瞬で顔を真っ赤にした。

「い、いや、誰でもない」

「別にコネを使うわけじゃないわ」灰原優歌は軽く笑った。

彼女は時間があるときに、スティーブンと佐藤知行の手書きの申請書について話すつもりだった。採用するかどうかは、すべてスティーブンの判断次第だ。

「ありがとう、優歌。でも今回の申請は僕にとって特別な意味があるんだ。彼から直接認めてもらいたいんだ」佐藤知行も微笑んだ。

それを聞いて、灰原優歌は特に何も言わなかった。ただ身を翻して、机に伏せて少し居眠りをした。

授業が始まるまで。

灰原優歌は引き出しから白紙を取り出した。しばらく考え込んでから、一面びっしりと文字を書き始めた。

その後、佐藤知行が水を汲みに戻ってくる前に、その紙を彼の英語の教科書の中にさっと挟み、再び机に伏せて浅い眠りについた。

……

放課後。

灰原優歌は車に乗ったばかりのとき、突然保護者会のことを思い出した。

「溝口おじさん、久保集団へ行きましょう」

溝口おじさんはにこにこと頷いた。「かしこまりました、お嬢様」

しばらくして、灰原優歌は久保時渡にメッセージを送った。

【お兄さん、今日は会社で待ってるね】

一、二分後、灰原優歌は返信を受け取った。

【わかった。曽田に迎えに行かせる】

このメッセージを見て、灰原優歌は静かに口角を上げた。

……

30分後。

久保集団。

曽田旭は遠くから灰原優歌の姿を見つけると、すぐに駆け寄り、ファイルで日差しを遮った。

「灰原さん、日差しが強いですから、次回は日傘を持ってきた方がいいですよ」

曽田旭は笑いながら言った。

「ご心配ありがとうございます、曽田助手」

灰原優歌は曽田旭と一緒に建物に入ると、にっこりと笑って言った。「そうそう、曽田助手は来週の金曜日、時間ありますか?」

曽田旭はまぶたを痙攣させ、何か良くない予感がした。

「何かお手伝いできることでもございますか?」

「来週の金曜日に、曽田助手に保護者会に出席していただけないでしょうか?」灰原優歌が笑うと、目尻が優しく上がり、澄んだ目は無邪気そのものだった。

しかし曽田旭はそれを聞いて、肝を冷やした。

冗談じゃない!?

灰原さんの保護者会に出席!?渡様に生き埋めにされてしまう!??