第221章 柴田裕也の事務所に申し込む

灰原優歌はまるで彼女のために用意されたミルクを見つめ、美しい目尻が思わず動いた。

「分かりました」彼女は手を伸ばしてミルクを受け取った。

それを見て、男は低い声で笑い、外から人に促されるまで、オフィスを離れなかった。

しかし間もなく、灰原優歌は宿題を脇に置き、iPadを手に取って、自分の二つのインターン実習プロジェクトの進捗状況を確認した。

突然。

灰原優歌は数通のメッセージを受け取った。吉田麻奈未からだった。

【柴田裕香が芸能界に入るって??あなたの次兄の個人事務所と契約するらしいわ。】

【この女、将来世論を操作しやすくするためじゃない??もう会社のマーケティングアカウントが彼女のイメージアップを始めてるわ。[笑]】

【優歌、優歌、いる???】

これらのメッセージを読み終えると、灰原優歌は眉を軽く上げた。確かに、柴田裕香がこのタイミングで芸能界に入ることは予想外だった。

原作の展開では、柴田裕香は大学卒業後に芸能界に入るはずだった。

そして。

灰原優歌は指先を軽く動かし、文章を入力した。

【新曲の反響は良かったわ。今月はハイトーンをしっかり練習して。】

【次の新曲は、あなたのブレイク作品になるわ。】

その時。

楽屋で水を飲んでいた吉田麻奈未は、激しく咳き込み、目を信じられないほど見開いた!

「麻奈未姉さん、そんな少女のような恋する乙女みたいな顔しないでよ。スマホを見てニヤニヤして、もし週刊誌に撮られたらどうするの??」

マネージャーは思わずまぶたを痙攣させた。

彼女も、吉田麻奈未がこんなに運が良いとは思わなかった。バーで貴人に出会えるなんて!

今回の新曲で、吉田麻奈未の人気は数人のトップ女優を追い抜いた!

次の曲もこれほどの話題性があれば、吉田麻奈未は今年確実にトップアーティストの仲間入りを果たすだろう!

「今、優歌と新曲のことについてチャットしてたの」吉田麻奈未は少し恍惚としていた。

最近の人気ぶりに、吉田麻奈未自身が夢のように感じていた。そして先ほどの灰原優歌の言葉に、吉田麻奈未は本当に夢を見ているような気分だった!!

マネージャーは突然吉田麻奈未以上に興奮して、「彼女が何て言ったの?!」

「……」