柴田裕香はついに後ろ盾を見つけたというわけか?
柴田裕也は唇を噛み締め、この件は厄介なことになりそうだと感じた。
……
その一方で。
柴田の母は嬉しそうに裕香の手を取り、「裕香、お兄ちゃんがもうすぐ帰ってくるのよ。この間、あなたが辛い思いをしたけど、お兄ちゃんが帰ってきたら、きっと助けてくれるわ」
「お兄ちゃんが帰ってくるの??」
柴田裕香は目を輝かせ、柴田の母を見上げた。
やっとお兄ちゃんが帰ってくる!
実は、柴田家の本当の実権者はお兄ちゃんなのだ。次男も三男もビジネスに興味がなく、これまでずっとお兄ちゃん一人が柴田氏を切り盛りしてきた。
「そうよ、何か辛いことがあったら、全部お兄ちゃんに話してね」
柴田の母も思わず笑みがこぼれた。「お兄ちゃんは誰に対しても冷淡そうに見えるけど、裕香、あなたも分かっているでしょう。お兄ちゃんはあなたの願いは何でも聞いてくれるのよ」