「これは……もしヤブ医者じゃなかったら?」
青年は思わず躊躇した。
「だからこそ、投稿するんだ!」
マネージャーは冷笑して言った。「もしその人が柴田おじい様を治してしまったら、その後で投稿しても意味がない。むしろこうすることで、灰原優歌が賭けに出たと思う人が増えるだろう」
「分かりました」
青年は頷き、もう灰原優歌たちを追跡するのを止めた。
……
「所長、灰原さん、さっき誰かが私たちを尾行して盗撮していました」
アシスタントの言葉を聞いて、小籠包を食べていたスティーブンは、むせそうになった。
「なぜ早く言わなかったんだ?!」
その時、灰原優歌はゆっくりと言った。「見てました。大丈夫です、後で消しに行きます」
この言い方だと、知らない人は灰原優歌が自分の投稿を消すつもりだと思うだろう。
スティーブンだけが、以前灰原優歌がトレンド欄を荒らした件を薄々覚えていた。
「……そこまでする必要はないよ」
スティーブンは胸を叩きながら、自信満々な表情で言った。「安心して、この件は私に任せて」
そして。
スティーブンは灰原優歌とアシスタントと一緒に記念写真を撮った。
すぐに、自分のSNSとマーカスの携帯に投稿した。
しばらくして。
マーカスは猛烈にメッセージを送ってきた。
【優歌と食事に行ったのか??】
【ねぇ?優歌の研究所の身分証を見せてあげようか??[笑]】
【子供じみてるな、俺が怒ると思ってるの?つまらない】
【ふん、ブロックした。さようなら、弟よ】
この一連のメッセージを見て、スティーブンは口角を引きつらせた。
これで子供じみてないって?これで怒ってないって??
……
午後。
病室にて。
「お父様、私が言ったでしょう。結局は他人の家で育った子供で、素性も分からないのに、まだ……」
柴田の母が言い終わらないうちに、柴田おじい様に叱責され、遮られた。
「もう余計なことを言うな。柴田晴樹に実家に送り返してもらうぞ!」
この言葉に、柴田の母は顔色を悪くして口を開いたが、何も言えなかった。
「母親の資格があるのか?自分の娘の悪口を、よくもそんな堂々と!恥知らずめ!」柴田おじい様は怒りで目まいがしてきた。
傍にいた看護師は急いで柴田おじい様を落ち着かせ、怒らないようにと諭した。