「え?指導教官??私の先生は私以外に、二人の研修生しか指導していないよ。」
伊藤西紀は静かに付け加えた。
しかも、あなたたちの研究所のではないわ。
内田和弘は心の中で、なぜ伊藤西紀が正式メンバーに直接選ばれたのか気になっていた。
結局のところ、この研修生たちの中には博士もいる。高校三年生の彼は、この研修生の中で最も基礎が弱かった。
「そうなんですか?」
内田和弘は優しく微笑んだが、心の中では別の考えを巡らせていた。「伊藤さんの携帯番号をいただけませんか?」
たとえ伊藤西紀がそのローシェル計算研究所の人を知らなくても、正式メンバーの直接の指導生だ。
伊藤西紀と仲良くなれば、きっとあの女性に会えるチャンスがある。
内田和弘の目が暗くなり、伊藤西紀が携帯を取り出して彼の番号を保存しようとしているのを見て、思わず口角が上がった。