「学校の先生があまり良くないから」伊藤西紀は即座に答えた。
石川信方の頭の中は、その言葉で一杯になった——学校の先生が良くない。
伊藤西紀は石川信方の表情が悪くなるのを見て、すぐに説明した。「先生の教え方はとても良いんですが、私は全部分かっているので……もっと難しい先生を探したいんです」
「彼女の教え方は、確かに難しいね」石川信方は冷ややかに笑った。
難しくなければ、あのローシェル計算研究所の二人の実習生が、あんなふうに鍛えられるはずがない。
「どう?私の先生、すごいでしょう!!」伊藤西紀はまだ灰原優歌に会ったことがなかったが、灰原優歌が教えてくれた数回の授業だけで、すっかり夢中になっていた。
ただし。
伊藤西紀が知らなかったのは、これらの授業は前もってティッキーとジェースミンに教えていたため、灰原優歌が教える内容を理解できたということだった。
石川信方は作り笑いを浮かべて、「すごい、すごいね」
「じゃあ、石川教授……」
「だから自分で探しなさい」石川信方は言い終わると、勝手に歩き去った。
伊藤西紀:「??!」
伊藤西紀が道を尋ね回っているとき、プロジェクトの雑用をしていた内田和弘は、伊藤西紀の姿を見かけた。
「あの人は誰?」
内田和弘は尋ねた。
それを聞いて、隣の男子学生は伊藤西紀を見て、目を輝かせた。「私たちの雲大の後輩です。伊藤西紀さんで、情報工学科の首席なんです!!しかも、飛び級で入学したんですよ!」
内田和弘は目を動かし、目の前の自分よりも若そうな女の子がこんなに優秀だとは思わなかった。
「彼女も実習に来ているの?」内田和弘は尋ねた。
「たぶん違うと思います。3号棟の方に向かっていますから。正式メンバーの実習生か学生かもしれません」
「どういう意味?」
内田和弘は眉をひそめた。A.M.計算研究所の実習生は、指導教員が一括して担当するのではないのか?
「ああ、つまり、優秀な実習生は早めに選ばれた先生について勉強できるんです」
そう言って、男子学生は神秘的な様子で続けた。「聞いた話では、3号棟にすごい大物が来たらしいんです。まだ研究所のメンバーじゃないのに、正式メンバーと同じ待遇なんですよ。
しかも今、所長が直々に引き抜きを図っているそうです!」