スティーブンが振り向いた時の歪んだ表情を見て、院長はこの会話がしばらく続けられないことを悟った。
方山賢一は思わず嘲笑した。「これが灰原さんが見つけた医療チームですか?灰原さんは、ただ適当に金を使って、海外でどこかの三流チームを見つけてきたんじゃないですか?」
この意地悪な言葉を聞いて、院長は眉をひそめた。
しかし、反論する前に、院長は先ほどカップラーメンを食べていた人物が、どこかで見覚えがあるような気がした。
どこかで会ったことがあるような。
「どこかでお会いしたことが……」院長は呟いた。
方山賢一は思わず嘲笑い、院長が灰原優歌の面子を立てようとしているのだと思った。
「院長、あなたは国内でも名の通った方なのに。まさか、この怪しげな、違法かもしれない医療機関の連中を知っているとでも?」
その言葉を聞いて、院長は思わず眉をひそめた。
「方山先生、言葉遣いには気をつけてください。」
そして。
方山賢一が更に何か言おうとした時、画面の向こう側の人物が戻ってきた。
彼は髭についたスープを拭い、さりげなく机の下にカップラーメンを置いた。
院長:「……」
もう全部見えているのに、隠す必要があるのだろうか?
「はじめまして、私はローシェル医学研究所の所長のスティーブンです。今朝、メールを送らせていただきましたが、返信がなかったので心配になりまして。」
その言葉が落ちた瞬間。
それまで嘲笑的な表情を浮かべていた方山賢一の体が凍りついた!
院長も急に顔を上げ、スティーブンの顔をじっと見つめた!
「ロ、ローシェル医学研究所??スティーブンさん!!?」院長は目を見開き、やっとどこで見たのか思い出した!
前回の学術交流会で、壇上で講演していたのは、まさにこの人ではないか!!
灰原優歌がまさかスティーブンさんを招くことができるとは!!
この大物と方山賢一では、業界での地位が段違いだ……
院長は先ほどのメールのことを思い出し、最初は詐欺メールではないかと疑っていて、こんな可能性は全く考えていなかった。
しかし、スティーブンさんが本当に灰原優歌が招いた主治医だったとは。
隣の方山賢一も明らかにこの名高い人物を認識していた。
彼は顔を青ざめさせ、まるで自分が背景の一部であるかのように端に立ち、一言も発しなかった。