「スティーブンさん、確認だけさせていただきました。あなたでしたら、もちろん問題ありません」
方山賢一の態度が180度変わったのを見て、院長は思わず目が引きつった。
「他の人は会議でカップ麺を食べていても、優れた専門性は妨げられませんからね。方山先生、そうでしょう?」
院長は母国語で、にこやかに尋ねた。
方山賢一は顔色が悪く、一言も発することができなかった。
彼の頭は混乱し、灰原優歌が連れてきた人物がスティーブンさんだとは、どうしても想像できなかった……
柴田裕香と柴田の母は彼を馬鹿にしているのか?!!
スティーブンの能力は、この専門分野では天井級だと言えるほどだ!結局、この母娘は彼に診察を依頼する勇気があったとは!?
わざと彼を恥をかかせようとしているのか?!
……
病室の入り口で。
灰原優歌は柴田の母と柴田裕香が一緒に座っているのを見て、まるで仲の良い母娘のようだと感じた。
しかし、すぐに彼女は無関心な目つきで通り過ぎ、フルーツバスケットを持って病室へ向かった。
「灰原優歌!」
柴田の母は冷たい表情で、彼女を見つめた。
「柴田夫人、あなたの面倒な話を聞く気分ではありません」灰原優歌は無造作に振り向き、皮肉っぽく彼女を一瞥した。
そして。
柴田の母が何か言う前に、灰原優歌はそのまま部屋に入ってしまった。
「あなた……」
柴田の母は呆然とし、ますます歯ぎしりをした。
「お母さん、方山先生が戻ってきました」柴田裕香は柴田の母を引き止め、小声で注意した。
それを聞いて、柴田の母はすぐに態度を変え、優しく方山賢一を見つめ、「方山先生、院長とお話しできましたか?本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません。こんな些細なことでも解決していただいて。この手術が終わったら……」
しかし。
方山賢一は彼女の言葉を遮り、冷笑して言った。「柴田夫人は私を買いかぶりすぎですね」
この言葉に、柴田の母は一瞬理解できなかった。
なぜか彼女には、方山賢一の態度が彼女たちに対してより冷たくなったように感じられた。
「方山先生、その言葉はどういう意味ですか?」
「灰原さんはもう主治医を見つけられました。あなたたちがそんなに心配する必要はありませんよ」
言い終わると。