第320章 館外で拒否され、名声を慕って来る

柴田裕香は顔色を変え、すぐに言った。

「戸田様、用事は明日にしませんか...もう遅いですし、プラチナパレスにお泊まりになってはいかがですか?」

戸田霄まで行ってしまったら、自分は本当に笑い者になってしまう!?

しかし。

戸田霄は断固として、「だめです!今回私が来たのは、吉田さんにはっきりと聞きたいことがあるからです!

彼女はいつも忙しいと言っていましたが、今回このチャンスを逃すわけにはいきません!」

そう言うと。

戸田霄は振り返ることもなく外へ走り出した。

この状況に、他の人々は柴田裕香の表情を見て、誰も何も言えなくなった。

せっかくの誕生日会なのに、今では参加者もほとんどいなくなり、みんな他人の誕生日会へ行ってしまった...

柴田裕香は目が赤くなり、唇を噛みしめ、歯ぎしりをしながら言った。「お兄さんたちが灰原優歌の手引きで何かしたんじゃないの?」

それを聞いたウェイターは小声で答えた。「先ほどあるお嬢様が言っていましたが、灰原さんの方には、多くの新興実業家が来ているそうです。白井氏、薄田氏、吉田氏、そして久保氏の方々も...

その言葉が落ちると。

柴田裕香だけでなく、柴田の母までも顔色を失った。

今になって分かった。確かに柴田家の仕業ではなく、久保家のあの方の仕業だったのだ。

おそらく栄田社長が離れたのも、久保家のあの方と無関係ではないだろう。

柴田裕香は表情を崩し、我慢できずに部屋に戻って泣き出した。

...

ウーセル館。

戸田霄が着いたとき、入口で止められている栄田社長を見かけた。

「栄田社長、なぜ中に入らないんですか?」

栄田社長も表情が良くなかった。「招待状がないので、入れないんです。」

以前、柴田家から来るかと聞かれたが、栄田社長は既に内田家と約束していたので、わざと断っていた。

しかし、こんな展開になるとは誰が予想できただろうか!!?

渡様までもがこの本物のお嬢様の誕生日会に来ているとは。

「そうですか。」

戸田霄は吉田麻奈未に電話をかけ、彼女を呼び出そうとした。

そして同時に。

電話を受けた吉田麻奈未はまぶたを震わせ、灰原優歌の方を見た。「優歌、この戸田霄がずっと私にまとわりついているのは、あなたの作曲のことで、あなたに会いたがっているからなの。」

「会わない。」