「こちらは戸田霄様です。」
吉田麻奈未は灰原優歌に紹介し終わると、今度は戸田霄に、「こちらは灰原優歌です。」と紹介した。
「はじめまして。」
灰原優歌は軽く微笑んで、戸田霄と握手を交わした。
その後。
灰原優歌はゆっくりと尋ねた。「戸田様が私をお探しになった理由は、何でしょうか?」
その言葉に、戸田霄は一瞬戸惑い、すぐに我に返ると、興奮して目を見開いた!
「あなた、あなたがYUNですか??」
灰原優歌はそれを聞いて、振り返って吉田麻奈未に尋ねた。「私、このペンネームなの?」
「そうよ!」
吉田麻奈未は真面目な顔で言った。「知らないでしょうけど、最近、研究者のY.G.がすごく話題になってたの。同じ名前を使ったら、絶対に批判されて、便乗だって言われるわ。
だから会社が私に名前を変えるように言ったの。どう?いい感じでしょう?」
「……」
灰原優歌は確認した後、再び戸田霄の方を向いて、「戸田様、お話しください。」
「私は...灰原さんに音楽の道に進んでいただけないかと思いまして。」戸田霄は少し緊張した様子だった。
彼は思いもよらなかった。人気作曲家のYUNがこんなにも若かったとは...
「いいえ、たまたまお金が必要なだけです。」灰原優歌のこの言葉に、吉田麻奈未はまぶたをピクリと動かした。
まさか、灰原優歌が作曲の仕事を本当にアルバイト程度に考えているとは。
「しかし、灰原さんの才能は素晴らしい。私が厚かましくも灰原さんの師になろうとは言いませんが、もし灰原さんがよろしければ、道を開くお手伝いをさせていただきたい。」
戸田霄は我慢できずに勧めた。
「でも、それは戸田様にとって何のメリットがあるのでしょうか?」吉田麻奈未も思わず尋ねた。
これは国内外で称賛される一流の音楽家なのだ。
「確かに灰原さんにお願いしたいことがあります。私は国際音楽協会の会長として、灰原さんに我々の国際音楽協会のメンバーになっていただきたいのです。」
戸田霄は苦笑いを浮かべた。「私には執念があるんです。音楽協会にアルリアの人が一人でもいてほしいと。残念ながら、私は六、七歳の時に既に移民してしまい、名実ともに相応しくないのです。」
「音楽の道には進みませんが、もし戸田様が私を国際音楽協会に相応しいとお考えなら、検討させていただきます。」