第315章 久保大夫人の策略

米田坊ちゃまの言葉が落ちると、すぐ横から人の声が聞こえてきた。

「澄辰、アラスの紐をしっかり持ってね。今日は灰原お姉さんの誕生日だから、お姉さんを悲しませないようにね?」

久保大夫人は正装で、元々優雅な眉目は、年を重ねても威厳に満ちていた。

「はい、僕もお姉さんにプレゼントを用意したんですよ!」

今日の澄辰は小さな王子様のような格好で、わざわざ小さなリュックを背負って来て、一生懸命アラスの紐を引いていた。

「それなら安心だわ」

久保大夫人はほっと息をついた。

彼女はまだ澄辰をパーティーに連れて行ったことがなかったが、今回の参加も、ある人の要望によるものだった。

久保大夫人が中に入ると、外にいた七人は驚きのあまり気が動転した!!!

「く、久保集団の大夫人??!」

「あの子は久保集団の若坊ちゃまじゃない??!若坊ちゃまは人前に出ないはずじゃ...どうして灰原優歌の誕生日に...」