第313章 柴田家のお嬢様は手強い

「誰が貸し切ったの?」灰原優歌は尋ねた。

「灰原さん、これは誰かが貸し切ったわけではありません。渡様の私邸なんです。お気に入りいただければ、これからもよくいらっしゃってください」

曽田助手は表面上は微笑んでいたが、実際には久保時渡の行動に複雑な思いを抱いていた。

この邸宅は実は以前、お婆様が渡様の婚約パーティーのために取っておきたいと言っていたものだった。

しかし渡様は灰原さんを甘やかすために、もう限度を知らず、ウーセル館まで提供してしまった。

灰原優歌は意外そうに「お兄さんは?」と聞いた。

曽田旭は首を振って「それは私にもよく分かりません。私の任務はあなたを邸宅までお連れすることです」

その後。

灰原優歌が邸宅に入ると、このリビングルームの装飾品は全て高価な骨董品であることに気づいた。