第372章 お嬢様(修正・2章分)

銃声が突然鳴り響き、誰も反応する間もなかった。

先ほどの吉村咲耶の射撃のように、調整のために一時停止することもなかった。

銃声が途切れることなく、連続して響き渡った。

今射撃している人物が、本当に射撃の技術を知っているのかと疑わずにはいられなかった。

しかし、結果は予想外だった。

的を数えていた店員は一瞬呆然とした後、慌てて言った。「え、えっと、9点が1発...」

最低点を聞いて、周りの人々は凍りついたように固まった。得意げな表情を浮かべていた吉村咲耶の顔は、歪むほど変わっていた!

先ほど灰原優歌が試し撃ちをした時は、高得点に全く届かなかったのに!

これは一体どういうことなの???

「9発は...10、10点です...」

店員も二度目のこのような神業的な成績に遭遇し、夢を見ているのではないかと疑うほどだった。

この成績は本当なのか???

この人は本当にプロの神様なのでは!!?

「そんなはずない!?」

吉村咲耶は思わず叫び、顔面蒼白になった!

そんな中、灰原優歌は銃を下ろすと、久保時渡の方を振り向き、艶やかな眉目に意気揚々とした表情を浮かべた。

「お兄さん、私の勝ちよ。」

灰原優歌が振り向いて、明楽な瞳で彼を見つめるのを見て、久保時渡は胸の中で何かがくすぐられるような、心が揺らぐような感覚を覚えた。

久保時渡の瞳が徐々に暗くなり、全ての光を飲み込んでいった。そして突然彼女の方へ歩み寄り、何気なく灰原優歌の腰に巻かれた服の裾を整えながら、唇を少し上げて低い声で笑った。「ああ、すごいな。」

この光景は、言い表せないほどの溺愛ぶりで、まさに死ぬほど素敵だった!!

周りの女性たちは、乙女心が再燃するほどの光景だった!!!

しかし。

吉村咲耶は顔面蒼白になり、思わず後ずさりし、魂が抜けたような様子だった。

どうしてこんなことに!!?

この女が彼女を騙していたのだ!!

こんなに射撃が上手いのに、わざと言わなかったのは、明らかに彼女を恥をかかせようとしたのではないか???

そのとき。

意外なことに、福永健仁の表情は悪くなく、むしろ灰原優歌をより熱い視線で見つめていた。

久保時渡の側にいるあの少女がこれほど凄いとは思わなかった。

本当に久保時渡は宝物を拾ったようだ。

突然。