傍らにいた柴田陸信と柴田裕也は、柴田裕香の目つきが冷たくなるのを見ていた。
柴田の父も呆然として、「何だって?」
雲大とニレイ大学は両方とも一流校だ。この二校が……優歌を欲しがっているだって!?
柴田の父だけでなく、傍らの雲田翁も驚きのあまり呆然としていた。
「レイ大は……入学試験を受けて合格しないとオファーがもらえないはずでは?」雲田翁は以前知り合いの友人の孫娘が、二年かけてようやくニレイ大学に合格したことを覚えていた。
そんな大学が、灰原優歌に自らオファーを出すなんて!?
「ああ、優歌の担任の話では、優歌がレイ大の教授の出題ミスを発見し、しかも全体で唯一解答できた生徒だったからだそうだ。
だから、レイ大の教授がすぐにオファーを約束したんだ。でも優歌は数学専攻が好きじゃないから断ったんだ。」