言葉が落ちた。
その場は静まり返った。
雲田翁の箸が、思わず手が震えて机の上に落ちた。
柴田家のこの新しいお嬢様は、一体どういうことなのか??
業界では、柴田家の偽物のお嬢様は才能が群を抜いて、芸術的な才能も抜群だと噂されていた。本物のお嬢様は運がいいだけで、何の取り柄もないと。
しかし先ほど、二つの名門校が灰原優歌を争って欲しがっているという話を聞いた。そして今、国際的なトップミュージシャンが、このお嬢様と仲が良さそうな様子を目の当たりにして……
柴田の母は心の中で警鐘が鳴り響いた。「先ほどのお言葉は、つまり……」
戸田霄は思わず灰原優歌の方を見た。「優歌ちゃん、本当に先生を探したいの??」
彼は目を輝かせ、期待に満ちた表情で灰原優歌を見つめた。
先ほど柴田裕香を毅然として断った様子とは、大きく異なっていた。