第375章 あなたがいれば、永徳は倒れない

しかし、次の瞬間、金井雅守が口を開くのを聞いた。

「Y.G.があなたに会いたがっている。一人で入ってください」

金井雅守は保を見ながら言った。

千田郁夫もY.G.の身元が機密であり、一般の人は会えないことを理解した。

「行っておいで」千田郁夫は保の肩を叩いた。

保は目尻を拭い、すぐに感情を整え、頷いて立ち上がった。「はい」

ドアの前で。

保はドアをノックし、ゆっくりと中に入り、小声で呼びかけた。「Y.G.さん?」

突然。

「こちらへ」若く澄んだ声が聞こえ、保は思わず驚いた。

しかし、さらに驚いたのは、目の前の少女があまりにも美しかったことだ。

このような少女がY.G.だとは、まったく想像もしていなかった……

「Y.G.さん?」

保は確信が持てないようだった。

灰原優歌は彼を一瞥し、唇の端をわずかに上げた。「座って、少し聞きたいことがあります」