土屋遥は悪知恵を働かせ始めた。
しかし、灰原優歌のルックスなら、芸能界に入れば確実にブレイクする素質があった。
柴田裕香のような初恋の女の子のような顔でさえ、灰原優歌の隣に立てば、パッとしないものに見えてしまうだろう。
「面倒くさいわ」
灰原優歌はゆっくりと言った。
灰原優歌の怠惰な性格をよく知っている土屋遥は、特に驚きもしなかった。
ただ。
その後、土屋遥が口を開く前に、近くから上田先生の慌ただしい声が聞こえてきた。
「灰原優歌、まだここにいたの?通知を見なかったの?今日、雲大に行かなきゃいけないのよ??」
灰原優歌は聞き返した。「雲大?」
「そうよ、物理コンテストで入賞した皆さんは、引率の先生と一緒に雲大を見学できるのよ。しっかり頑張れば、来年の推薦入学のチャンスも大きくなるわ」
上田先生の言葉を聞いて、隣にいた土屋遥は、自分と隣席の友達との差を実感した。
数日前まで、二人は一緒に叱られる同じ席の仲間だった。今や、隣の席の友達は優等生になり、彼一人だけが学業の苦しみの中でもがいていた。
「今から行くの?」
灰原優歌は思わず眉をひそめた。
「そうよ、スクールバスがあなたを待ってるわ!急ぎましょう!」
そう言うと、上田先生は熱心に灰原優歌を押しながら、遠くにあるスクールバスの方へ向かった。
土屋遥はその光景を見て、思わずまぶたが痙攣し、心の中で灰原優歌に追いつくために一生懸命勉強しようという決意がより強くなった。
……
スクールバスの外で。
「校長先生、本当に灰原優歌を連れて行くんですか?あの子の成績は……」
本物なのか偽物なのかもわからない。
引率の先生は気が進まず、灰原優歌が永徳の面目を潰し、自分が立場を失うことを恐れていた。
「どうしようもないでしょう。2位も3位も6位も行くのに、1位を行かせないわけにはいかないでしょう?」校長は作り笑いを浮かべた。
今、最も何か起こることを心配しているのは彼だった。
前回の表彰式で、灰原優歌が自分で不正を認めていれば、永徳への影響もそれほどなかっただろう。
しかし今、もし灰原優歌が雲大で実力不足を露呈し、面目を失えば、最終的に被害を受けるのは永徳の進学率だ!!
これらのトップ校は、不正をする学生を最も嫌う。そして、そのような学生を育てた学校も同様に嫌うのだ。