土屋遥は悪知恵を働かせ始めた。
しかし、灰原優歌のルックスなら、芸能界に入れば確実にブレイクする素質があった。
柴田裕香のような初恋の女の子のような顔でさえ、灰原優歌の隣に立てば、パッとしないものに見えてしまうだろう。
「面倒くさいわ」
灰原優歌はゆっくりと言った。
灰原優歌の怠惰な性格をよく知っている土屋遥は、特に驚きもしなかった。
ただ。
その後、土屋遥が口を開く前に、近くから上田先生の慌ただしい声が聞こえてきた。
「灰原優歌、まだここにいたの?通知を見なかったの?今日、雲大に行かなきゃいけないのよ??」
灰原優歌は聞き返した。「雲大?」
「そうよ、物理コンテストで入賞した皆さんは、引率の先生と一緒に雲大を見学できるのよ。しっかり頑張れば、来年の推薦入学のチャンスも大きくなるわ」