第430章 老舗VS新星

今回の百億プロジェクトは、確かに多くの人の羨望を集めていた。新人の台頭は、必然的に他者の利益に影響を及ぼすことになる。

そのため今、外では「Y.G.」はドレイニーグループによって作り上げられた天才新人に過ぎないという噂が広まっている。

堀川紀明は率先して非難し、Y.G.のような機会主義的で実力のない者は、研究界を汚すだけだと主張している。

灰原優歌は関連記事を検索し終えると、少し意外そうに軽く笑った。

結局、前世では本橋桜という母親がいたおかげで、研究界では順風満帆だった。

他人から見れば、灰原優歌は生まれた時から既にゴールにいる人物だった。他人が百倍の努力をしても、灰原優歌が生まれながらに持っている教育資源に及ばなかった。

しかし皮肉なことに、人々をより理不尽に感じさせたのは、そのような教育資源を持つ者が、真に実力のある天才だったことだ。さらに、母親の本橋桜よりも数倍も恐ろしい存在だった。

ただし、後に人々は本橋桜親子が次々と短命で亡くなるのを見て、天は英才を妬むものだと嘆き、平凡でいることも悪くないと思うようになった。

【YGG：凡人は凡人らしく、そんな意味のない取材に気を取られるな。】

【伊藤西紀：はい～そうだ先生、堀川紀明が最近学生を取ったって聞きましたが、確か優歌さんの所の...内田和弘さんですか？】

実は、以前堀川紀明は直弟子は取らないと言っていた。しかし思いがけず、この数日で堀川紀明が内田和弘を学生として受け入れ、さらに後継者として育てる意向だというニュースが流れた。

灰原優歌は眉を少し上げ、こんなことが起こるとは思っていなかった。

……

セイソウ計算センター。

「A.M.計算研究所との話は、もう済んだのか？」

中年男性が研究室から出てきて、目の前の内田和弘を見渡しながら、傲慢な口調で言った。

この内田和弘は、他人に頼まれて仕方なく受け入れた学生だった。しかし幸い、それなりの才覚はあり、自分の面目を潰すことはないだろう。

「もう話は済みました。これからはA.M.研究所には行きません。」

内田和弘は答えた後、Y.G.に学生として受け入れられた伊藤西紀のことを思い出し、無意識に拳を握りしめ、心の中で自分に言い聞かせた。

国内では、金井雅守の他に、コンピューター分野で一二を争う存在と言えば堀川紀明しかいない。