第405話 主任は我が国の人だ

しばらく我慢していた。

アルネはようやく言葉を絞り出した。「余計なことをしてしまいました。すぐに追加しておきます。」

「自分の立場をわきまえておけばいいわ。」

灰原優歌は物憂げに笑い、すぐに電話を切った。

これにアルネは怒り心頭に発した。

「このYUNときたら!まさに若気の至りだ!!」

金谷智志は黙々とお茶を一口飲んで、「でも彼女には才能があるよ。」

「才能があったって、彼女のような……」

アルネが言い終わらないうちに、金谷智志は突然手を止め、茶碗を強く机に置き、パソコンに顔を近づけた。

107番の老人の演奏方法をはっきりと見たいかのようだった。

「何をしているんだ?」アルネは彼の行動に驚いて、すぐに振り向いて尋ねた。

「彼の演奏方法を見てごらん……」

金谷智志も最初は、YUNの個人的な好みが少し奇妙だと思っていた。なぜこんな平凡な老人を選んだのか。

しかし間もなく、彼は違和感に気づいた。

「彼が弾いているとき、指と肘の動き……それに、今のフレーズ……二、三百個の音符があったように見える。」金谷智志は呆然としていた。

最初は、この作曲とメロディーが平凡だと思っていた。むしろ……魅力的ではないと。

しかし今よく聴いてみると、非常に演奏が難しいオリジナル楽譜だった。しかも、かなり強い感情的な影響力を持っていた。

アルネは表情を変え、これが見落とされそうだった一人だとは思わなかった。

しかしすぐに。

彼はまだ軽蔑的だった。「もうこんな年なのに、音楽協会に来て何になる?

それに、この曲は私たちが注意深く聴かないと違いに気づかない。一般の聴衆はどうなんだ?」

……

灰原優歌はこの楽譜に興味があったが、おそらく曲調が異質なため、磨きをかける必要があった。

彼女は二十分ほど書き、その老人のメールアドレスを見つけ、送ろうとした時、一瞬躊躇した。

しばらくして。

灰原優歌は最後に、もう一段の文章を打った。

【楽譜は素晴らしいです。次のラウンドを楽しみにしています。】

打ち終わると、送信を済ませ、パソコンを閉じた。

そしてこの時。

薄田家。

雰囲気は特に異様だった。

薄田修司は表情の優れない薄田の父と薄田の母を一瞥し、口を開いた。

「おじいさんが好きなら、やらせてあげればいい。」