第406章 募集主責任者YUN

「麻奈未の編曲で、YUNという名前です」

薄田修司はそれを聞いて、冷たい目元に諦めの色が浮かんだ。「すでに知り合いなら、直接吉田麻奈未に連絡すればいいじゃないですか?」

「連絡はしたけど、うまくいかなかったの」

薄田の母は憂いに満ちた表情で言った。「麻奈未が言うには、もしYUNに頼んだら、おそらくその方はおじいさんを落とすかもしれないって。

はぁ、この世の中には、なぜこんなにもお金に頭を下げない人がいるのかしら?」

薄田修司は彼女を一瞥したが、それ以上は何も言わなかった。

しかし、しばらくして。

彼は突然思い出した。「おじいさんは釣りをしているんですか?さっき池のそばを通った時、見かけませんでしたが」

「風が冷たいって言って、執事に魚を何匹か桶に入れさせて、二階で釣ってるのよ」

薄田修司は「……じゃあ、後で食事に降りてくるんですか?」

「たぶん降りてこないわ」

そうして。

薄田家全体が、手に負えないおじいさんのことで頭を悩ませ始めた。

それから30分後。

二階から突然物音が聞こえた。

「息子!嫁!修司!私は昇級した、昇級したぞ!!!」

突然、薄田おじいさんは風のように階段を駆け下りてきて、顔には喜色満面の表情が浮かんでいた。

薄田の父は驚いて、すぐに前に出て支えようとした。おじいさんが転ばないかと心配で。

「やれやれ!支える必要なんかない!」

薄田おじいさんは不機嫌そうに薄田の父の手を払いのけると、すぐさま満面の笑みを浮かべた。「早く見て!早く見て!これは私に送られてきたんだ!!」

それを聞いて。

薄田の父は幽霊でも見たかのように、本当にそのメールを注意深く見た。

おじいさんのこんな奇妙な作曲を、誰が評価するというのか??

「おじいさん、他の人も同じアカウントからメールが来たんですか?」薄田修司はメールアドレスを見て、公式アカウントではないようだと気づいた。

「アカウント?ちょっと聞いてみよう」

薄田おじいさんは一瞬戸惑った後、すぐに他の選抜参加者に尋ねた。

しかし。

他の人が受け取ったアカウント情報と、彼に送られてきたアカウント情報は、まったく異なっていた。

薄田おじいさんの表情が一変した。

「どうやら違うようだ……」