第407章 アルリアにこの2枠があるのは、YUNのおかげ

目に飛び込んできたのは、かなり長い専門的な指導書だった。

長文ではあったが、無駄な言葉は一つもなく、非常に簡潔だった。この主任は近づきがたい人物のようだ。

また、この主任は本当に老師の楽譜を気に入っているようだった……

薄田の父が読み終えると、息子の探るような目が向けられていた。

まるで「もしかして、もう金を渡したの?」と聞いているかのように。

薄田の父:「……」

もし金を渡していたら、こんなに焦る必要があるだろうか??

しかし。

今一番ほっとしているのは、老師が昇級したことだ。

薄田家の危機も去ったのだ。

……

数日が経過。

ネット上では国際音楽協会に関するニュースが広まっていた。

最も話題になっていたのは、音楽協会第二次選考で最年少の柴田裕香だった。

柴田家の偽令嬢事件で裕香は大きな笑い者になったものの。

前回のニレイ十八令嬢舞踏会や今回の音楽協会第二次選考通過は、ネットユーザーの目には完全な逆転劇と映っていた。

ファンも大幅に増え、コメント欄は称賛の声で溢れていた。

【音楽協会の第二次選考に進めるなんて、この美貌と才能を兼ね備えたお嬢様は一体誰!?】

【18歳でピアノツアー、19歳で音楽協会第二次選考まで進出!!ナイス、将来が楽しみ!】

【えー……音楽協会第二次選考って、そんなに誇れることなの?採用されたわけじゃないのに。】

【そんなこと言う人は本当に頭が悪い。国際音楽協会はたった20数名のメンバーで、みんな神様レベル。入れないのが普通で、入れたら奇跡。裕香が第二次選考まで進んだのは、すでにかなりの実力。】

【そう、今回の応募者は1万人以上いたらしいけど、第一次選考で200人まで絞られて、第二次選考通過者はたった20~30人。柴田裕香すごくない?】

【ハハハ音楽協会に30歳以下の正式メンバーがいたら、私の首を切って皆さんにボールとして蹴らせてあげます。】

【まあ、以前は柴田家を離れた裕香が損したと思ってたけど、今では損したのは柴田家の方みたいね。】

【ニレイ十八令嬢舞踏会の時から、この女性はただものじゃないと思ってた!あぁぁ大好き!!!】

……

これらのコメントを見ていた裕香は、唇の端を軽く上げた。

しかし突然、携帯の画面に電話の着信が表示された。

裕香は笑顔が凍りついたが、すぐに電話に出た。