第408章 第4ラウンドは、彼女の新しい楽譜を使おう

「確認したけど、今回の募集はYUNさん一人で決めるそうよ」

女性は包み隠さず答えた。

柴田裕香は即座に胸が締め付けられた。「でも、私の枠を確保してくれるって言ったじゃない?!」

そう言うと。

柴田裕香の心には怒りの炎が燃え上がり、目には嫉妬の色が満ちていた。

なぜYUNが戸田霄に認められるの!?

私じゃダメなの??!

「裕香、そんなに焦らなくても。もちろん助けるわよ」

女性は続けた。「これを話したのは、感情に流されないでほしいからよ。YUNはあなたが知ってる学生たちとは違う。差があっても、そう大きくないわ。結局のところ、彼女の実力からすれば、数年後には会長になる可能性だってあるのよ」

「彼女が??!」

柴田裕香は目を真っ赤にして見開いた。

電話の向こうは黙り込んでしまった。

柴田裕香が我に返り、自分とYUNの差を認識するまで。

彼女は歯を食いしばって尋ねた。「分かりました。じゃあ、音楽協会の枠を手に入れるには、どうすればいいんですか?」

それを聞いて、女性は軽く笑った。

「私の部下から聞いたんだけど、YUNは楽譜をとても大切にしているそうよ。だったら——

第四ラウンドで、彼女の新しい楽譜を使ってみたら?」

「彼女の?」

柴田裕香は一瞬固まった。

YUNの楽譜を使う??でもYUNは募集の責任者よ、私を通してくれるの??!

「心配しないで。私が彼女の新しい楽譜を手に入れてあげる。あなたがそれを演奏できれば、彼女はこの件を黙って飲み込むしかないわ」

柴田裕香は拳を握りしめた。「でも、彼女が将来会長になる可能性があるって言いませんでした?」

将来の会長を敵に回して、そのまま居続けられるの?

「私の言うことを聞いていれば、何も心配することはないわ」

その言葉を聞いて、柴田裕香はようやく全てを理解した。

これは女性の仕掛けた罠だ。

一方で彼女を使ってYUNを抑え込み。

もう一方で、YUNに恨まれるようにする。そうすれば、彼女は女性の言いなりになるしかない。

柴田裕香は歯を食いしばり、これが自分の唯一の道だと悟った。

「分かりました。でも、お願いがあります」

「何?」

「コンピューターを勉強している友達がいるんですが、優秀な先生を紹介してもらえませんか?」

……