第411章 兄たちの宅配便

灰原優歌は林院長と三十分ほど散歩した後、アパートに戻ろうとした時、突然電話が鳴った。

曽田旭からの電話だった。

「灰原さん?」

灰原優歌は尋ねた。「どうしたの?お兄さんが急用で私を探してる?」

曽田旭は一瞬黙り、言葉を選んでいるようだった。

その後、灰原優歌は曽田旭の言葉を聞いた。「灰原さん、実はこういうことなんです。お兄様方三人とも、品物を送ってこられました。ただ、かなり高価なものらしく、あなたの確認が必要なんです。」

これを聞いて、灰原優歌は前回柴田陸信が渡した鍵のことを思い出した。

彼が金庫を久保集団に送ったの???

じゃあ、柴田裕也と柴田浪は、何を送ってきたの??

灰原優歌は目尻がピクリと動いた。「分かりました。午後に行きます。」

「はい、お手数をおかけします。今日は渡様がいらっしゃらないので、渡様のサインでも良かったんですが。私も支社で会議があって、午後戻れるかどうか分からないんです。」

「大丈夫です。ご苦労様。」

灰原優歌は口元を緩めた。

電話を切った後、林院長は我慢できずに聞いた。「優歌、午後出かけるの?何時に?」

「うん、久保集団に行かなきゃ。宅配便のサインをしに。」

灰原優歌は頷いた。

林院長は目に浮かぶ寂しさを隠し、すぐに笑顔で言った。「そう、じゃあおばあちゃんは早めにご飯を作るわ。」

灰原優歌は林院長を見つめ、歩きながら突然尋ねた。

「おばあちゃん、午後時間ある?」

林院長は振り向いて、「あるわよ、どうしたの?」

「じゃあ、時間があったら、私と一緒に会社に宅配便を受け取りに行かない?受け取り終わったら、ショッピングモールに行きましょう。」

灰原優歌は微笑みながら言った。目は何気なく林院長の色褪せた袖口を見た。

林院長はそれを聞いて、目を輝かせた。

「いいわよ。おばあちゃんもちょうどショッピングモールで食べ物を買って、家に置いておきたかったの。」

「うん。」

灰原優歌は軽く笑い、自然に傘を開いて、林院長に日差しを遮った。

……

午後。

久保集団。

「茉子さん、川瀬主任があなたをすごく可愛がってるみたいね。遅刻しても叱られないなんて。」

オフィスデスクの前で、二人の女性が話していた。