柴田裕香の顔の笑みは、さらに凝固し、隠しきれない冷たさを漂わせていた。
その時。
女の子は我に返り、慌てて言った。「あの、裕香、私はあなたを馬鹿にするつもりじゃなかったの。」
「大丈夫よ。」
柴田裕香は笑って言った。
柴田裕香が本当に怒っていないのを見て、女子も安心した。「よかった、裕香は優しくて寛容だから。」
「そうそう裕香、これは私が特別にあなたのために用意したプレゼントよ。」女子は思い出したように、すぐにギフトボックスを柴田裕香に渡した。
「本当に私のために用意してくれたの?ありがとう、米田。」
柴田裕香はとても嬉しそうに、すぐにプレゼントを受け取った。
「気にしないで、だって裕香は私の一番の親友だもの。これは前回バルコ市に行った時に買ったの、特別にあなたのためよ。あ、お父さんが迎えに来たから、先に行くね。」
「うん、バイバイ。」
柴田裕香は満面の笑みで女子の去り際を見送り、その後手に持っていた綺麗に包装されたギフトボックスを、そのままゴミ箱に投げ捨てた。
表情は冷たく、皮肉に満ちていた。
……
車が停まった後。
灰原優歌は周りの人の往来を見て、尋ねた。「パーティーに行くんじゃなかったの?」
「制服姿でパーティーに参加させるとでも?」
柴田陸信は腕時計を見て、灰原優歌を見渡しながら、思わず軽く笑った。「行こう。」
灰原優歌はすぐに理解し、車から降りて柴田陸信の後を追った。
「ドレスを選ぶの?」
灰原優歌は柴田陸信の横を歩いていた。
美しい制服姿の女子高生と、洗練された雰囲気の背広姿の男性、周囲の視線を集めるには十分だった。
「あの二人、撮影してるの??!」
周りの女子たちは、興奮して噂し合っていた。
これはどんな恋愛ドラマ??主演の二人のクオリティが高すぎる!!
「よだれを拭きなさいよ。後ろのボディーガード4人見た?本物のお金持ちよ。」
隣の女子が、夢中になっている女子の腕を引っ張りながら、小声で言った。
その時。
他の人々も、この二人の後ろに程よい距離を保って4人のボディーガードが付いていることに気付いた。
……
柴田陸信が灰原優歌を連れてスタイリングデザインセンターに入るまで。
「柴田社長、どうしてこちらにいらっしゃったんですか?」