第452章 私が波風を立てることは許されない

「よし、もう一局やって、それから下に行って彼らを見てみよう」

薄田おじいさんが言った。

「はいはい、じゃあもう一局やりましょう」

……

階下のホール。

「まあ見てよ、薄田京香が帰ってきたら、本当に皆の注目の的ね」

周りのお嬢様たちは、時々視線を向けていた。財閥の若旦那たちと話している薄田京香の方へ。

そして少し離れた角では。

灰原優歌がお菓子を食べながら、時々吉田麻奈未の皿にも少し載せていた。

突然。

「灰原様、あなたも来たんですね」

灰原優歌が振り向くと、佐藤知行と土屋遥がいた。

スーツを着て、端正で気品のある姿。

特に佐藤知行は、一、二ヶ月経って、かなり痩せていて、黒い瞳が輝き、深い目鼻立ちは、多くの若い女性の注目を集めていた。

「ケーキを盗み食いに来たんじゃないでしょうね?出世の望みはどこへ?」

土屋遥は何気なく灰原優歌のケーキの上のさくらんぼを取って、口に放り込んだ。

灰原優歌は手を止め、無表情で彼を見つめた。「……」

「優歌、優歌、ここにまだあるわ」吉田麻奈未は急いで自分のケーキの上のさくらんぼを、灰原優歌の口に入れた。

灰原優歌は吉田麻奈未を一瞥して、ただ物憂げに佐藤知行に尋ねた。「佐藤、なぜここにいるの?」

「兄についてきたんです」

言い終わると、佐藤知行は思わず吉田麻奈未を見つめた。

それで灰原優歌も思わず吉田麻奈未を見たが、吉田麻奈未が佐藤知行を知らないふりをしているのを見て、それ以上は聞かなかった。

「灰原様、見ましたか?あそこの緑のドレスを着ている人、佐藤兄さんの好きな人なんです」

「土屋遥、何を言ってるんだ?」佐藤知行は肘で強く土屋遥を突いた。

土屋遥は腹を押さえて笑った。「違うって?入り口で会ってから、ずっと彼女を見つめてたじゃないか。そうだ、年齢差はどのくらい?」

「四歳です」

佐藤知行は思わずまた薄田京香を見つめた。

「四歳?」

土屋遥は眉を上げ、ちょうど視界の端で灰原優歌を見かけた。「灰原様、佐藤兄さんこれいけると思いますか?」

灰原優歌は佐藤知行をちらりと見て、考えてから、「佐藤、他の人を探した方がいいわ」

「なんで変える必要があるの?あのお姉さん、とても優しくて上品そうじゃないか。あなたみたいな気の強い子とは、まさに天と地ほどの違いだよ」