第433章 死にたいのか

灰原優歌は手に持って、普通のバックステージの作業証がこんなに精巧に作られているとは思わなかった。

「これは本社の方から、お客様用の身分証として用意したものです。今後はEGグループ傘下のどの場所でも、この証明書で自由に出入りできます。」

若い男性は言い終わると、さらに親切に尋ねた。「ご案内させていただきましょうか?」

「結構です。人を探しに来ただけですので。ありがとうございます。」

灰原優歌はカードを受け取った後、柴田おじい様を探しに中へ入っていった。

長い廊下で。

柴田おじい様は灰原優歌が入ってくるのを見て、少し驚いた様子だった。

「優歌、どうやって入ってきたんだ?」

灰原優歌は目を動かし、柴田おじい様の腕に手を回しながら、のんびりと答えた。「入り口に誰もいなかったので、そのまま入ってきました。」

「??!」そんなことがあるのか?!

柴田おじい様は目を見開いたが、深く考える間もなく、灰原優歌に会場へ連れて行かれた。

しかし。

会場に着くと、柴田おじい様の不満げな声が聞こえてきた。

なぜこんなに騒がしいんだ??

お年寄りの気持ちを考えないのか??

灰原優歌は柴田おじい様の苛立ちを察したようで、唇の端を上げながら、近寄って言った。「おじい様、今日はとても若々しい服装なので、皆さん気づかなかったんですよ。」

柴田おじい様はそれを聞くと、不機嫌さが一瞬で消え、若者たちを大目に見ることにした。

灰原優歌と柴田おじい様は柴田浪が指定した場所、最前列のステージに近い席に座った。

その時。

両チームが登場すると、会場の雰囲気は一気に盛り上がり、歓声が次々と上がった。

幸い、灰原優歌は先見の明があり、柴田おじい様の耳を塞ぎながら、冷静に観客の熱気が収まるのを待っていた。

そしてその光景は、ステージ上のある選手の目に留まった。

「すげえ、下の妹ちゃんめっちゃ可愛いじゃん???見た?さっき歓声が上がった瞬間、おじいさんの耳を塞いでたよ。」

その言葉を聞いて、水を飲んでいた別の選手は、冷たい目で灰原優歌と柴田おじい様を一瞥し、軽蔑的に笑った。

「見えてるよ。あの女、着てる服全部ノーブランドだぜ。隣の年寄りなんて、ジャケット一枚で数千万円だぞ。」

その男の目はさらに軽蔑と侮蔑に満ちて、「最近の女は、金のためなら何でもするよな。」