柴田裕香は反応を取り戻すと、「和弘、あなた……灰原優歌を登録させているの?」
「その通り」
内田和弘は嘲笑的な口調で、冷たく言った。「彼女は自分がコンピューターが好きだと言っていたじゃないか?今回、ちょうどいい機会を与えてやろう」
「和弘、すごいわね?私さっきまで、どうやってやったのか全然分からなかったわ」柴田裕香は表面上では褒め称えながら、内心では他人の不幸を喜んでいた。
灰原優歌がこの頃、目立っていたところで何になる?
内田和弘は相変わらず彼女を嫌っているのだから。
このA.M.計算研究所が主催するコンテストについて、和弘の話では、参加者は比較的若いコンピューター分野のトップ人材ばかりで、灰原優歌が行けば、嘲笑されるだけじゃない?
「七組の担任のパソコンにハッキングした。時間はかかったけど、灰原優歌に教訓を与えられるなら、価値はある」
この期間、堀川紀明は直接指導する時間は少なかったが、先輩たちは皆親切で、多くのことを教えてくれた。
「和弘がそんなに凄いなら、きっとコンテストで一位を取れると信じているわ」
内田和弘は口角に薄い笑みを浮かべたが、突然伊藤西紀のことを思い出した。
彼の目が暗くなった。
もし伊藤西紀が来たら、このコンテストは厄介なことになるかもしれない。
……
A.M.計算研究所で資料を整理していた石川信方は、マウスを握る手を止めた。
新しい申請者の名前を見て:「!!?」
氏名:灰原優歌
年齢:19
コンピューター自己評価:A
石川信方:「……」
しばらくして。
石川信方は深く息を吸い、隣のソファーに座っている金井雅守の方を見た。「金井さん、この参加者を見てください……」
「言っただろう、これはお前に任せると。お前が良いと思う人なら、採用すればいいじゃないか」
石川信方:「……」
分かった。
あなたがそう言うなら。
石川信方は意味深な目で金井雅守を見やり、その後また灰原優歌の資料に目を向けた。
このお方は一体何をしに来るつもりなんだ??
まさか、この数百万円のためじゃないよな???
数百億円のプロジェクトを手に入れた人が、この程度の金額も見逃さないとは???
……
家でプロジェクトを進めていた灰原優歌は、突然バイブレーションの音を聞いた。
開いてみると、通知が一件。