第471章 灰原優歌を登録した

柴田の父は直接答えず、この件についてまだ少し疑念を抱いていた。

全国大会の難しさは誰もが知るところで、毎年あるが、満点を取れる人が何人いるというのか?

「おじさん、裕香はただあなたが騙されないことを願っているだけです。優歌を可愛がるあまり、裕香をこんなに疎遠にしてはいけません」

森谷美貴が言い終わると、傍らで柴田の母の声が響いた。

「聞いたでしょう?子供でさえあなたより物事をはっきり見ているわ」

灰原優歌が一位?

以前の灰原優歌の成績を、柴田家の皆は知らないのか?彼女にどうして一位を取る実力があるというの?

どう考えても、柴田の母は信じられなかった。

「でも優歌は嘘をつくような子じゃない」柴田の父は拳を握りしめ、灰原優歌のあの冷たい眼差しを思い出すと、胸が刺されるような痛みを感じた。

「柴田晴樹、もういい加減にして!灰原優歌がどんな性格か、分からないの?本当にそんな実力があるなら、なぜ今まで少しも見せなかったの?!」

柴田の母は紅茶のポットを強く机に置いた。

彼女は冷笑した。「信じられないの?それとも信じたくないの?」

「お母さん、もういいです」柴田裕香は柴田の母を引き止めた。

「見てごらんなさい、私たちが喧嘩をしても、誰が諭してくれるの?灰原優歌はあなたの娘かもしれないけど、よく考えてみなさい。もしあなたが彼女の目の前で死んでも、彼女はあなたを一目見てくれるかしら?!」

「あなたは!」

柴田の父は柴田の母を怒りの目で見つめたが、一言も言い返せなかった。

傍らの森谷美貴は、柴田家がこんな状況だとは全く想像していなかった。

柴田の父は優柔不断で、柴田の母だけが柴田裕香の味方をしている。

「お父さん、ちょっと用事があるので、先に失礼します」突然、柴田裕香が言った。

それを聞いて。

柴田の父は体を硬くし、柴田裕香を見つめた。「じゃあ、お前は……」

「お体に気をつけてください。他のことは裕香は何も気にしません」

言い終わると。

柴田裕香は森谷美貴を引っ張って、振り返ることなく立ち去った。

この光景に、柴田の父は全身が硬直し、心がまた揺らぎ始めた。

……

「裕香、この時間に何の用事があるの?私に手伝ってもらうんじゃなかったの?」

森谷美貴は不思議に思った。

なぜ柴田裕香は途中で諦めたのか。

その時。