第479章 次期音楽協会会長

話し終わった。

灰原優歌は目を細めて、何の感情も込めずに彼らを見つめていた。

金谷智志が最初に反応し、まるでファンがアイドルを甘やかすような態度で、呆然と「いいよ、いいよ。すごくいい」と言った。

灰原優歌は何事もなかったかのようにアルネを一瞥し、自分の席に戻った。

その場にいた参加者たちは驚愕した！

薄田おじいさんまでもが呆然としていた！

この若い娘は少し大胆すぎるのではないか？試験官にまでこんな反抗的な態度を取るなんて？？

最も不思議なのは、金谷智志先生が彼女の言うことを聞いたことだ！！？

そして、アルネまでもが歯を食いしばり、最後には我慢して座り直した。

皆：「？？？」

これは一体どういう状況なのか？

「皆さん、準備を続けてください。次の方」

金谷智志が最初に気を取り直し、灰原優歌が身分を公表したくないことを察して、選考を続行した。

そして、この状況を見ていた全員が、最後のあの若い娘はきっとすごい大物なのだろうと悟った。

おそらく、音楽協会の枠の一つは彼女のものになるだろう。

皆がそれぞれの思いを巡らせながら、試験の準備を続けた。

その時。

灰原優歌が予想もしなかったことに、薄田おじいさんが彼女の前に来て、「お嬢さん、ありがとうございます」と言った。

「どういたしまして」

灰原優歌は正体を明かしたくなかったので、顔を上げずに気だるそうに答えた。

「お嬢さん、あなたのバイオリンは本当に素晴らしかった……」

薄田おじいさんは少し緊張した様子で、手をこすりながら慎重に「教えていただけませんか？謝礼はお支払いします」と言った。

灰原優歌：「……普段は忙しくて」

もう生徒は取りたくなかった。

三人いれば十分すぎるほどだった。

「そうですか」

薄田おじいさんは少し落胆したが、すぐに誠実な口調で「あなたは素晴らしい。今回の音楽協会の枠は必ずあなたのものになるでしょう。頑張ってください」と言った。

「……」

灰原優歌：「ありがとうございます。最終選考に向けて頑張って、枠を獲得してください」

その言葉を聞いて、薄田おじいさんは思わず灰原優歌を見つめた。

このお嬢さんの口ぶりは、まるで自分が第四次選考に進むことが既定事実であるかのようだった。

「そうなることを願っています」