第526章 お姉ちゃんの体はいい香りがするね

「行きたい」

灰原優歌は子供があまり好きではなかったが、澄辰のようなタイプの子供は確かに可愛がっていた。

「じゃあ、澄辰はお姉ちゃんと一緒に寝てもいい?」澄辰は白くて柔らかい小さな手を組み合わせて、顎の下に当て、可愛らしくおねだりをした。

澄辰は付け加えた。「お姉ちゃんに迷惑をかけないって約束する!」

その時。

ソファーに座っている男性が、澄辰に冷ややかな視線を投げかけた。淡い色の禁欲的な瞳には、少し冷たさが宿っていた。

向井様からこの子を借りた時、この子は灰原優歌に会えると聞いて、すぐに承諾した。

道中も、灰原優歌を説得して留まらせると約束し、灰原優歌にべったりくっつかないと言っていたのに。しかし灰原優歌が帰ってくるや否や、本性を現し始めた。

「澄辰」

男性の低く磁性のある声が響いた。