上田先生のこの興奮した表情を見て、灰原優歌は既視感を覚え、何となく見覚えのある感じと共に、良くない予感も感じた。
……
午後。
灰原優歌は手元の上田先生が渡したばかりの資料を見つめ、思わず沈黙してしまった。
「灰原様、あなたと佐藤兄さんも行くの?」土屋遥は灰原優歌と佐藤知行が持っている同じ資料をちらりと見て、物憂げな目つきを向けた。
これは雲城大学の特別クラスの資料だった。
この特別クラスは、ここ三年で始まったものだ。一位を取った人は、雲大の合格ラインが60点下がり、二位、三位はそれぞれ40点、20点下がる。
しかし、こういったものは灰原優歌にとって何の意味もなかった。
「こんなの、上田が考えそうなことね」灰原優歌は資料を机に投げ出し、まったく興味を示さなかった。
「でも灰原様、特別クラスに行けば、堂々とサボれますよ」佐藤知行は正直に言った。