「625点だって聞いたよ」
みんなはそれを聞いて、しばらく沈黙した後、誰かが諦めきれない様子で尋ねた。
「じゃあ、私たちのクラスで一番高い点数は?」
先ほど試験用紙を配った優等生が眼鏡を直しながら、「今のところの成績を見ると、佐藤知行が590点みたいだね」
その言葉を聞いて。
みんなはまだ沈黙したままだった。この差がこんなに大きいとは思わなかった。
30、40点もの差があるなんて……
「でも2位の柴田裕香も600点だし、うちのクラスの1位は悪くないよ」別の生徒が慰めるように言った。
「でも佐藤知行以外の、うちのクラスの点数は……」誰かが言いかけて止まった。
確かに。
佐藤知行は最近どうしたのか、点数がロケットのように上がっていた。
突然。
上田先生が厳しい表情で入り口に立ち、ドアをノックした。