柴田裕香は深いため息をつき、みんなに笑顔で言った。「元博、私は600点しかないの。」
柴田裕香にとって、今回は確かに過去最低の点数だった。
「裕香、先生から聞いたけど、学年で2位だって。今回はみんな散々な成績だったからね。」と誰かが傍で柴田裕香に笑いながら言った。
「そうそう、裕香は最低でも600点だけど、私なんて600点取るのはいつになることやら!」
「学年2位?」
柴田裕香の目の奥に暗い色が走り、思わず安堵のため息をついた。
実は、前回灰原優歌がコンテストで1位を取り、雲大教授に目をかけられたことで、今回の月例テストを少し気にしていた。
でも今となっては、余計な心配だったようだ。
「そうよ、今回は不合格者が多すぎて。あなたの点数は間違いなく高得点よ。でも元博もすごいわね、ダントツの1位で625点だもの!」