第573章 柴田裕香の目論見が外れる

少女が慌てて逃げ出すような様子を見て、男は低く笑い声を漏らし、無意識に湧き上がった欲望を抑えた。

先ほど、もう少しで我慢できなくなるところだった。

そして灰原優歌は、男の瞳の奥に潜む深い色に気付いていなかった。

……

道を歩いていると。

突然、驚いた声が響いた。

「灰原様?灰原様どうしたんですか、顔が赤くなってますよ!」

花田尋音は偶然灰原優歌に出会い、目の前の彼女を信じられない様子で見つめた。

「ふん。」

灰原優歌は素っ気なく返事をし、まだ自分のことを考えていた。

しかし次の瞬間。

花田尋音はさらに好奇心を抱き、足早に灰原優歌の後ろについて行った。

「灰原様、何かあったんですか??」

花田尋音が説教を始めそうな態度を見せたので、灰原優歌は皮肉めいた笑みを浮かべながら彼を見た。