第579話 命が長すぎると思ってるの?

でも、それも理解できる。

誰だって金持ちと結婚したいものだ。しかも、あの二人の金持ち二世は普通の金持ち二世ではなく、ローシェルのトップクラスの金持ち二世なのだから。

さっきの女の子があんな風に育ったのは、確かに男の弱点を突いているわ。

そう思うと、ウェイトレスの心も酸っぱくなったが、分を超えた言葉は言わなかった。

しかし。

この時、ウェイトレス以外にも、二階の廊下から灰原優歌を見つめている人がいた。

その心の中の考えは、さっきのウェイトレスと同じだった。

「亀山さん、あの女はティッキー様を狙っているのではないでしょうか」

横にいた清楚な容姿だが、目つきに少し意地悪さが滲む女性が口を開いた。

「ティッキーの年齢なら、確かに大勢の女の子が群がってくるわね」

亀山さんと呼ばれた女性はチャイナドレスを着て、体つきは艶やかだった。