第591章 高橋教授が指名した学生

その言葉を聞いて、講師は保温マグを置く動作を一瞬止め、彼女を見つめ直した。

「鈴木遥と灰原優歌?」

数秒後。

講師は鈴木遥を一瞥し、最後に灰原優歌に視線を向けた。「藤原夏美の言うことは本当なのか?」

「先生、実は……」

鈴木遥が説明しようとした矢先、講師が遮った。「話しなさいとは言っていない、鈴木遥」

「でも……」

鈴木遥が主張しようとしたが、また灰原優歌に遮られた。

「先生、私はそれを認めません」

灰原優歌のそのさらりとした態度に、藤原夏美は冷笑を浮かべた。「みんなが目撃したじゃない。鈴木遥があなたの練習帳を使って解いていたのを。まだ認めないの?!」

「どう説明する?」

講師は灰原優歌を見つめながら尋ねた。

この状況に、鈴木遥は緊張で手に汗をかいていた。

先生が灰原優歌を嫌いになって、彼女を追い出してしまうのではないかと心配だった。