後に彼女のデザインが採用され、東山裕と一緒にしばらく働いていた。
彼女がこれほど有能だとは思わなかったが、今では秘書部長の座に就いている。
しかし、彼女は若すぎて優しすぎる性格だから、いじめられる結果になってしまったのだろう。
柴田治人はもう見ていられなくなり、歩み寄って「何をしているんだ?」と声をかけた。
皆は一瞬驚き、声のする方を見ると、背の高いハンサムな男性が近づいてきた。
「柴田社長...」まさか彼が来るとは思わず、全員が怖くて声も出なかった。
先ほどの会話をどれだけ聞いていたのか分からない。
林馨は柴田治人の視線に気づき、慌てて背を向けて涙を拭った。自分の惨めな姿を見られたくなかった。
柴田治人は深い眼差しで見つめ、何も言わずに社長室に入った。
東山裕は電話で広報部にこの件の対応を指示していた。