司会者は舞台の上で情熱的に叫んだ。「それでは、'東山'の偉大な社長と社長夫人の入場です!」
会場は一瞬にして熱烈な拍手に包まれた。
東山裕は海野桜を伴って、舞台裏からゆっくりと歩み出た。
スポットライトが二人に当たる——
二人の完璧な容姿と美貌は、その場にいる全ての人々の心を揺さぶった。
東山裕は高貴な身分だけでなく、背が高くハンサムで、並外れた気品を持っていた。
そして彼の妻も小柄で美しく、特に一挙手一投足が名門貴族の雰囲気を漂わせていた。
二人が並び立つ姿は、まさに天が結び付けた運命の相手、この世に二つとない組み合わせだった。
いわゆる人生の勝ち組とは、おそらく彼らのことを指すのだろう。
身分、家柄、容姿、財産……全てを持っている。
パートナーまでもが、こんなにも完璧だった。
その場にいる誰もが、彼らを羨ましく思っていた。
ただ、片隅に立つ林馨だけが嫉妬に燃えていた……
彼女は思わず手のグラスを強く握りしめ、心の中の苦さを抑えることができなかった。
今夜、社長と共にパーティーに出席するはずだった人は彼女だったのに……
盛装して彼の隣に立つはずだった人は彼女だったのに……
しかし神様は彼女に大きな冗談を仕掛けた。幸運の女神が自分に微笑んだと思ったのに、結局は空しい喜びに過ぎなかった!
社長と社長夫人が一緒にパーティーに出席するのは当然のことだと、彼女にも分かっていた。
でも彼女は……どうしても心の中の苦しみを抑えることができなかった。
林馨は落ち込みながら一口お酒を飲み、心の中で自分に警告し、自己暗示をかけ続けた。
社長は既に結婚している、彼には妻がいる、彼に恋心を抱いてはいけない。
恋心を抱いてはいけない……
……
東山裕は簡潔で力強いスピーチを終えると、海野桜を連れて舞台を降りた。
「気をつけて」階段が少し高かったので、彼は自然に優しく彼女を支え、転ばないように気を配った。
海野桜は少し驚き、顔を上げた時には、既に彼に優しい笑顔を向けていた。
突然彼女の明るく淡い笑顔を見て、東山裕も一瞬驚いたが、彼の反応は素早く、誰も彼の表情の微妙な変化に気付かなかった。
しかし海野桜は気付いていた。
彼女は彼の反応に満足していた。
ふん、私の前で演技するなんて、私だってできるわ!