そして笑った瞬間、鏡に映る背の高い男性の姿が目に入った。
彼女は突然、東山裕の深い眼差しと目が合い、笑顔を収めるのを忘れてしまった。
男の漆黒の瞳も一瞬凝固した。
その一瞬、まるで運命的な出会いのように、彼女の容姿と笑顔が、彼の心に波紋を起こしたかのようだった。
東山裕は気づかなかったが、彼女を見る彼の眼差しに、熱い光が宿っていた。
「社長……」彼を見て、メイクアップアーティストたちは慌てて挨拶した。
東山裕は軽く頷き、視線は依然として鏡に映る海野桜に釘付けだった。
他の人々は空気を読んで退室し、部屋には二人だけが残された。
海野桜はとっくに彼の視線を避け、宝石が散りばめられたパーティーバッグを手に立ち上がり、彼の方を向いて「行きましょう、準備できました」と言った。