指が無意識に動き、すぐにでも隣の女を引き寄せて好き勝手にしたくなるような衝動に駆られた!
でも、それは許されない!
彼らは離婚するはずだ。もう彼女に触れることはできない。さもないと、この結婚はより一層もつれてしまう!
東山裕は、今の自分がどんなに望んでも、彼女に触れてはいけないことをよく分かっていた。
急に体を反転させ、イライラしながら目を閉じ、早く眠りにつこうと、何も考えないようにした。
しかしその時、眠りの中の海野桜が彼の方向に向かって寝返りを打った。
振り向かなくても、彼女が更に近づいてきたことが分かった。
彼女の浅い、女性特有の香りを鮮明に感じ取ることができた。
振り向けば、すぐ近くで彼女の顔と向き合えそうだった。
東山裕が何とか抑え込んでいた衝動が、また蠢き始めた。