第38章 彼に愛情弁当を届ける

「……なくなってしまったの。人からもらったものだから、今度また手に入ったらあげるわ」と鴻野美鈴は淡々と言った。

「ああ」海野桜は彼女の急な気分の変化を察して、それ以上何も言えなかった。

朝食を済ませると、鴻野美鈴はこっそりと使用人たちに、海野桜と東山裕の最近の関係について尋ねた。

得られた答えは全て同じだった——二人の関係は良くないと。

東山裕は相変わらず海野桜に冷淡で、海野桜も変わったようで、もう東山裕の周りを行ったり来たりしなくなった。

しかも東山裕はめったに家で寝ることもなく、最近では二人は別々の部屋で寝るようになっていた。

鴻野美鈴は直ちに事態の深刻さを悟った。

海野桜まで変わってしまったということは、この二人の結婚は危機に瀕しているということだ。

それも非常に深刻な危機!