第56章 一時的に東山裕から離れる

海野桜はこのニュースを聞いて、はっとした。

前世でもこの時期に、おじいさんが戦友に会いに遠出して、不運にも転んで怪我をし、病院で長い治療を受けることになった。

そして、彼の体調は以前のようではなくなり、日に日に悪化していった。

そうでなければ、後に彼女が死刑判決を受けた時に、ショックで息を引き取ることもなかっただろう。

今世では死刑判決を受けることはないが、おじいさんが転んで怪我をすることも避けたかった。

海野桜はすぐに尋ねた:「おじいさん、今から行くんですか?」

「ああ、車はもう準備できている。すぐに出発する。これ以上遅れると、老戦友と過ごす時間がなくなってしまう。彼がどれだけ持ちこたえられるか分からないんだ」浜田統介は悲しげに言った。

海野桜はすぐに階段を駆け上がりながら、「おじいさん、待ってください!私も一緒に行きます!」

浜田統介は驚いて、「何しに行くんだ?」

「とにかく待っていてください。すぐに行きますから。おじいさん一人で行くのが心配です。もしこっそり行ってしまったら、私が直接探しに行きますから、とにかく待っていてください!」

「お前という子は...」

「おじいさん、必ず待っていてくださいね!」海野桜は電話を切り、身分証と銀行カードを探し始めた。

そして適当に着替えを数枚持って、すぐに出かけた。

階下の張本家政婦は彼女が慌ただしく出かけようとするのを見て、不思議そうに「お嬢様、どちらへ?」

「ちょっと用事があって出かけます。おじいさんと一緒に」

「お嬢様とご主人様はどちらへ...」

海野桜は彼女の質問に答えず、すでに走り去っていた。

海野桜は車を運転して浜田家の旧邸に着くと、ちょうど車に乗ろうとしていた浜田統介に間に合った。

車のドアはすでに開いており、運転手が彼を支えて乗せようとしていた。

「おじいさん!」海野桜は急いで荷物を持って近づいた。

浜田統介は彼女が荷物を持っているのを見て、思わず笑みを浮かべた:「本当に一緒に行くつもりなのか?」

海野桜は笑って言った:「もちろんです。どうせ暇ですし、おじいさん一人で行くのが心配なんです」

浜田統介は首を振った:「行かなくていい。誠が付き添うから大丈夫だ。お前はもう嫁に行ったんだから、むやみに出かけるわけにはいかないだろう」