第68章 比べてしまったばかりに

そのため、彼一人に審査を任せることに、誰も異議はなかった。

本来なら東山裕は他の人に審査を任せることもできたが、彼は常に会社のデザイナーを大切にしており、自ら審査することは、各デザイナーへの敬意でもあった。

そうすることで、皆のやる気と潜在能力を引き出し、会社の全てのデザイナーが未来に希望を持てるようになる。

なぜなら、作品が彼の目に留まれば、そのデザイナーは重点的に育成されることを意味するからだ。

東山裕の前には、パソコンが置かれていた。

彼は自らマウスを動かし、一つ一つの作品をクリックして開いていく。

プロジェクターに映し出される作品は次々と更新され、パスされたデザイナーたちは落胆するものの、誰も席を立つことはなかった。

彼らは他のデザイナーから、より多くのことを学ぼうと待っていた。