そのため、彼一人に審査を任せることに、誰も異議はなかった。
本来なら東山裕は他の人に審査を任せることもできたが、彼は常に会社のデザイナーを大切にしており、自ら審査することは、各デザイナーへの敬意でもあった。
そうすることで、皆のやる気と潜在能力を引き出し、会社の全てのデザイナーが未来に希望を持てるようになる。
なぜなら、作品が彼の目に留まれば、そのデザイナーは重点的に育成されることを意味するからだ。
東山裕の前には、パソコンが置かれていた。
彼は自らマウスを動かし、一つ一つの作品をクリックして開いていく。
プロジェクターに映し出される作品は次々と更新され、パスされたデザイナーたちは落胆するものの、誰も席を立つことはなかった。
彼らは他のデザイナーから、より多くのことを学ぼうと待っていた。
年に一度のデザインコンテストは、実は非常に貴重な学習機会でもあった。
ついに誰かの作品が東山裕の目に留まり、彼は山田大川の方を見て、「これだ」と言った。
「はい」山田大川は会釈して立ち上がり、「水谷剛さん、壇上に上がってデザインコンセプトを説明してください」と声をかけた。
指名されたデザイナーは興奮した様子で、胸を張って壇上に上がり、彼のデザインがどのように生まれたのかを説明し始めた……
林馨は下で真剣に聞いていたが、心の中では少し軽蔑していた。
この人のデザインした作品は十分ではなく、彼女の作品とは大きな差があった。
その後も、いくつかの作品が東山裕の目に留まった。
しかし林馨は、どれも自分の作品ほど良くないと感じていた。
見れば見るほど、今年の特等賞は間違いなく自分のものだという自信が湧いてきた。
とはいえ「東山」という大きな会社には、非常に優秀なデザイナーが大勢いた。
彼らはアイデアが独特だったり、基礎が深かったりと、それぞれに長所があった。
東山裕も彼らのデザインした作品に完璧さを求めているわけではなく、彼の目に適えば満足だった。
もちろん、特に良い作品であれば、さらに満足するのだった。
ついに、林馨のデザイン作品の番が来た!
東山裕は一目見て、少し驚いた様子だった。
林馨は若く経験は浅いものの、彼女のデザインスタイルは独特で、基礎も悪くなく、デザインの才能があり、それは貴重なことだった。