相手の作品は、基礎がしっかりしていて、設計された作品には何の問題もなかった。
林馨のは、ちょっと目立とうとしすぎた……
だから今年の特等賞は、林馨には与えられない。
彼は皆に革新を奨励しているが、革新のために基本的なものを無視してはいけない。
それに革新しすぎるのも、良いことではない。
東山裕は林馨に壇上で彼女のデザインコンセプトを説明させたが、彼の表情は終始普通で、他のデザイナーに対する表情と同じだった。
林馨は壇を降りる時、心の底で少し落胆し、かすかな不安も感じていた。
彼女の直感は、社長が彼女の作品にあまり満足していないと告げていた。
去年は彼が彼女の作品を見て笑顔を見せたのに、今年は……
彼女はさらに心配になった。特等賞が取れないかもしれないと。
デザインコンテストは、すぐに終わった。